それなら同じことが〈私〉についても言えるか
【要約】
1~2段落(69頁)
「周囲のみんなはみなその同じ〈今〉にいる」とは言えても「他時点の私は同じ〈私〉を共有する」とは言えない。特定の人物を経由することなしに未来の自分に直接語りかけることはできないからである。〈私〉は、特定の人物にも概念化された私にも変質することなく、時間的に持続することはできない。つまり事実として〈私〉は〈今〉から切り離すことができない。
3~5段落(71頁)
であれば、〈今〉も〈私〉から切り離せない(周囲のみんなは〈今〉を共有していない)と考えることはできる。つまり、未来の私が今の私と同一人物であるだけで〈私〉であるとはいえないのと同様、今の他者たちは私の今と同時にいるだけで〈今〉にいるとはいえないとも言える。