永井均「存在と時間 哲学探究1」の要約と感想

このブログで私は、永井均という哲学者が書いた「存在と時間 哲学探究1」(文藝春秋)という本について、要約や感想を書いています。私は、哲学とか一度も勉強したことがなくて、哲学は全くのど素人なのですが、この本がすっごく大好きで、何回も繰り返し読みました。そして、ぜひたくさんの人に読んでもらいたいな、と思って、このブログを書きました。人生においてすっごく大事なことがぎっしり詰まった本だと思います。特に、悩みや苦しみを抱えている人が読むと、その悩みや苦しみが消えてしまうかもしれません。

現在は過去になる?

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現在は過去になる?

【要約】

1段落(273頁)

関連して、「現在が過去になる」とか「未来が現在になる」といった言い回しについても触れておきたい。これは不可解な表現ではないだろうか。

 

2段落(273頁)

そもそも「現在になる」とか「過去になる」といった捉え方が可能になるのは、動く現在を表象する針が文字盤(年表)上を通過するとみなしたうえで、さらに針の視点ではなく文字盤(年表)上のある位置という視点に立って(これは実際にはけっして立てない視点である!)、そこからこの針の動きを見たときである。つまりそれは、現在の動きを外部から見るという、高度にテクニカルな操作を介在させないと成立しないものの見方である。

 

3段落(273頁)

そのうえでなされる「現在が過去になる」とか「未来が現在になる」という言い方も正確ではない。出来事は、現在体験している出来事が過去になるが、現在はむしろ未来方向に進む。よって「現在が過去になる」は、現在は未来において過去であるという、時間の前後関係についての構造的事実を述べているにすぎない。