累進構造をカント原理に取り込んで、最重要の超越論的カテゴリーとみなす
【要約】
1~2段落(114頁)
しかし、われわれの言語(ロゴス)は、この問題に関する限り、立体を平面に投影して無理やり平面内で説明するような説明の仕方しかできないようにできているから、立体を直接知っている人にしかその説明は役に立たない・・のだが、そもそも他人が立体を直接知っているということ自体が平面に投影された事態でしかありえない。つまり、立体と平面という比喩を使ったとしてもこの問題は累進する(平面に投影された立体が、ある意味では立体そのものである、という形で)。
3~7段落(115頁)
累進構造図の横のつながりが表現しているのは時制や人称で、縦のつながりが表現しているのは様相(現実であることと可能であることの関係)である。言語がはたらくためには、この縦の関係が必要不可欠である。言い換えれば人称や時制が機能するためには(様相自身が機能するためにも)様相が必要不可欠である。
8~9段落(118頁)
累進構造図は、縦列があるがゆえに、〈私〉や〈今〉を横の関係の内部で相対化(私にとっての私、などのように)しない。縦の関係は①最上段とその他の段との対比と②それぞれの段とその下の段との対比の二種の対比がある。もちろんこの二つを同じことと見ることもできる。そう見ることができることが人間的な理性(ロゴス)の始まりとも言える。
10~18段落(118頁)
〈私〉の必然的成立がライプニッツ原理、その〈私〉を世界から追放するのがカント原理であるなら、カント原理には、その追放の仕方により二種あることになる。一つは主観的連続性の必然的成立であり(繋がりの原理=旧カント原理)、もう一つは、累進構造図に現れた、人称と時制と、それを支えるものとしての様相である(語りの原理)。それによってこそ最上段とそれ以下の段が「まったく同じ」ものとなる様相がとりわけ重要である。言葉を使って何かを言う以上、われわれはこの原理に従わざるをえない。カント原理のこの二本の柱は、最重要の超越論的カテゴリーである。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【感想】
人称や時制が機能するためには(様相自身が機能するためにも)様相が必要不可欠。
「~にとっては」(仮にあなたが私だったら、仮に過去が今だったら、仮に可能世界が現実世界だったら)という様相が、人称や時制や様相を機能させる。